1962年に大阪府和泉市で創業の堀田カーペットは、ウィルトン織機でウールカーペットを作り続けています

【WEB工場見学】手織りと機械織りのあいだ。職人技のハンドタフテッド製法とは?

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    目次

      一口にカーペットと言っても、実はいろいろな作り方があり、様々な特徴があります。今回は作り方のひとつである「ハンドタフテッド製法」のものづくりを見ていきたいと思います。

      堀田カーペットのWOOLRUGのシリーズでは、「Local Wool」「British Colour」「Frame」がこの「ハンドタフテッド製法」で作られています。

      手織りと機械織りの中間であるハンドタフテッド製法

      まずカーペットの製法には大きく分けて「手織り」と「機械織り」があります。「手織り」は、針やハサミのような道具を使いながら手作業でつくるもので、ペルシャ絨毯やギャッベ、ベニワレンなどが有名です。

      「機械織り」は読んで字のごとく、機械を使って作られたもので、堀田カーペットで使っている「ウィルトン織機」をはじめ、「アキスミンスター織機」や「タフテッド」「ニードルパンチ」「ミシン」など様々なタイプの機械で作られています。

      今回説明する「ハンドタフテッド」は分類上は「機械織り」になりますが、個人的には「手織り」と「機械織り」の中間的なものづくりだと思っています。

      ハンドタフテッドカーペットの作り方

      さて、本題の「ハンドタフテッドカーペットの作り方」に入りたいと思います。

      製経(せいけい)

      まずは下準備です。「綛(かせ)」と呼ばれる状態のウール糸を「ワインダー」でコーン(円錐状の芯)に巻き取ります。

      綛(かせ)状態のウール糸

      綛(かせ)

      ワインダー

      ワインダー

      次に適度な太さにするために糸を複数本に引き揃え、コーンに巻取ります。

      複数の糸を一本にしてコーンに巻き取る

      コーンに巻き取る

      そして糸のくせをスチームで直します。
      アイロンや髪の毛の寝グセ直しのようなものです。

      糸のクセを直す作業

      これで糸の準備完了です。

      基布セット

      次に基布と呼ばれる綿布を木枠にセットします。しっかりとムラなくテンションをかけてセットします。テンションにムラがあると商品が歪んでしまったり、仕上がりサイズに差異がでてしまうので重要な作業です。

      木枠に木綿をセットする。基布と呼ぶ。

      製織

      この基布に「フックガン」と呼ばれる電動の道具でパイルを打ち込んでゆきます。

      フックガン

      COURTの商品は無地なので、簡単そうに見えますが、何のガイドもないキャンバスに等間隔・等ピッチで打ち込む技術は正に職人技です。そしてとても根気のいる作業です。

      基布にフックガンでパイルを打ち込む

      打ち込んでいる反対側が商品の「表」になります。

      パイル(毛足)を打ち込み終わると次は裏の処理作業です。

      裏面処理

      パイルを差し込んだだけの状態では、簡単に抜けてしまうので、裏面に「ラテックス」と呼ばれる白い樹脂を均等に塗ります。

      「ラテックス」と呼ばれる白い樹脂を塗る作業

      乾燥

      そして樹脂の上にもう一枚布をかぶせ、ローラーをかけてしっかり接着させます。季節によって1日半〜3日ほどしっかり乾燥するまで待ちます。

      「ラテックス」と呼ばれる白い樹脂を乾燥させる工程

      レージング

      レージングとシャーリング

      しっかり乾燥したら、「レージング」と「シャーリング」と呼ばれる作業を行います。

      パイル(毛足)を打ち込んだだけの状態ではパイルが不揃だったり、パイルが埋まってしまっていたりします。

      そこでまず、しっかり「レージング」と呼ばれるパイルを起こす作業をして、その後「シャーリング」というパイルを刈り揃える作業をします。
      大きな電気カミソリのようなものです。

      画像は小さなマットですが、大きなサイズのラグであっても上下左右何度もシャーリング機をかけます。

      シャーリング作業

      シャーリング

      仕上げ

      毛並みがきれいに揃ったところで、最後の仕上げをします。

      余分な布をハサミでカットし、

      余分な布をハサミでカットする作業

      ラテックスを塗り、

      縁にラテックスを塗る

      アイロンで接着し、

      余った部分を折り返して、先ほどのラテックスで接着させ、アイロンを当てる

      さらに内側に折込み、

      さらに内側に折り込む

      アイロンとラテックスで接着してゆきます。

      再びアイロンを当てる

      四辺とも同様の作業を行い、角をきれいに仕上げて完成です。

      このように、ひとつひとつの丁寧な手作業によってつくられるWOOLRUGシリーズはまさにオーダーメイド。あなたのためだけの1枚ではないでしょうか?

      しっかりとした厚みと密度感、縁かがりのないすっきりとした仕上がりは「ハンドタフテッド製法」ならでは商品です。

      WOOLRUG「Frame」色:SAGE

      WOOLRUG「British Colour」色: TAN

      撮影協力:辻寛敷物株式会社

      WOOLRUG商品一覧

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      https://hdc.co.jp/category/dictionary/craft/